2016.12.07 特集記事 求人にみる独立支援制度って何?

建設業種の求人をいろいろ見ていると、『将来は独立も可能!』や『独立してガッツリ稼ごう!』等のコメントをよく見かけると思います。そもそも建設業界でいう“独立”とはどのようなスタイルを指すのでしょうか?またそのメリットとデメリットとは?

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求人広告内では『独立支援制度有』と記載されています。(職人スタイル内ではコチラ)この独立支援制度、よく見れば職種に偏りがあるようです。主な職種としては[鳶職][大工][内装工][鉄筋工][軽天ボード工][塗装工]などが多いようです。では独立支援とは具体的にはどのような支援をしてもらえるのでしょうか?

 

基本、独立支援は『経験が豊富で腕が確かな職人』にのみ適用されます。当たり前ですが未経験や見習い程度の技術力では、独立後の仕事に責任が持てないので、それでは独立は出来ません。未経験の方やまだ技術が未熟な方はまず、職人としての技術力や知識をしっかりと身につけることが大切です。

 

仕事を覚え、様々な状況に対応出来る技術が身に付けば独立への道が開かれます。例としてはある日、仕事から事務所へ戻ると、『おい、○○!(アナタの名前)』と社長に呼び止められます。

『はい』

『お前、ウチに来て何年や?』

『はい3年になります』

『そうか。早いの~。もう職長もやってもらってるし一通り出来とるな』

『ありがとうございます』

『どや?そろそろ請負でやってみるか?』

 

請負とは『雇用契約ではなく、請負契約へ変更して働きませんか?』という意味です。また建設業界での独立支援とは、『請負契約への移行支援』という意味が多いのが実情です。では雇用契約と請負契約、何がどう違うのでしょうか?

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請負だからといって日々の生活は変わらない!?

ということで今月から請負契約で働く事になりました。だからといってこれまでの日々の仕事内容や作業内容は何も変わりません。同じように朝集合し、みんなで乗りあって現場に向かい作業し、休憩時にはつまらない話で盛り上がって大笑いして、お昼ごはんを食べます。作業が終われば帰路につきます。請負契約になったからといって『社長!』と呼ばれることもありません()

 

 

雇用契約と請負契約の違い

雇用契約はその名の通り、“会社の社員”として働き、働いた対価として『お給料』を頂きます。雇用されていますので、各種保険や年金制度等の福利厚生にも加入しており、仕事に必要な費用(交通費や雑費)も会社が全て負担してくれます。

 

その反面、請負契約の場合はいわゆる完全出来高制。仕事の量や成果で支払われる金額が変わりますので、やればやるほど収入が増えていきます。仕事量が全く同じの場合でも雇用契約である時のお給料よりも請負契約で仕事をこなした方が多く収入を得ることができるのがメリットだと言えます。またアナタ自身が人を雇い、育て使う事で、さらに多くの収入を得る事も可能です。ただデメリットとしては保険や保障が無いということになりますので、ご自身でかける必要があります。また道具の購入や現場までの交通費等の『仕事にかかかる雑費』も全て個人持ちになりますので、経費も多くなります。さらに税金等の申告も自分で行う必要があり、収入が増える分、出ていく支出や手間も多くのなるのも実情です。

 

また雇用契約とは違い請負契約の場合はアナタは社員ではなく『協力業者』『下請け業者』という位置づけになります。社員の時と同じように仕事をこなし、日々現場で仕事をしていても、いざ仕事量が減少したり、アクシデントが起きた場合は真っ先に切られてしまうリスクもあるということを覚えておいた方がよいでしょう。会社は社員を優先的に保護しますので、『いざとなったら自分で仕事を取るぞ』という位の心構えは必要です。

 

 

雇用契約のままか独立どっちが得か?

雇用契約の場合は会社の業績や内情に全てが左右されますが、請負契約の場合は全てのかじ取りがアナタ次第です。先ほど、『日々の作業は変わらない』と説明しましたが、『いや、こんな仕事してみたい』『他の業者の仕事もしてみたい』という事であれば、それも可能です。人を雇い入れる事もできますし、法人化することも可能です。雇用契約では年収数千万円を得ることは非常に難しいですが、独立してしまえば、それも夢ではありません。

 

しかしその分リスクもあります。雇用契約の場合はある程度会社が社員を守ってくれますので、どちらが得かは、ご自身の判断になると思います。

 

独立支援制度が多いのはなぜか?

逆に企業側はなぜ社員の独立支援を行うのでしょうか?一見社員で居てもらった方が得な様な感じがしますが、実は『リスク分散』ができるため雇用というカタチよりも請負を好みます。建設業は基本、受注請負産業。『仕事が決まってから作業を行う』スタイルです。ですので受注が無ければ仕事がありません。季節や景気によって仕事量が変化するため、『社員数は必要最低限で抑えっておきたい』というのが企業の本音です。仕事が多い時は協力業者を使い社員で足りない仕事量をカバーし、仕事量が少なければ社員だけで作業を行うカタチがもっともベストだと考えています。

 

だからこそ、社員ではなく『協力業者』として信用出来る人を側に置いておきたいという事です。自社で社員として働いてきたスタッフなら、どのような仕事が多く、どのような作業の進め方をすればベストかということまでしっかり把握しています。同じ職種で外から来た人とスキルが同じでも『勝手がわかっている』人の方が安心ですし、重宝されるため、『独立しませんか?』と進めてくるわけです。

 

『ガッツリ稼ぎたい!』『いつか会社の社長になりたい』という野心や夢をお持ちなら独立支援制度がある企業がオススメです。アナタが現場未経験だったり、何もスキルが無いという状況だったらなおさらです。初期費用がかかる飲食等とは違い、技術と必要最低限の道具があれば独立できる建設業。独立するリスクは他の職種に比べても低いのではないでしょうか?

 

夢を持って日々の仕事に取り組める独立支援制度。そんな支援を有効に利用しながら将来ガッツリ稼げる職人を目指してみませんか?