建設業の給与相場は今後どう動く?

──「人材不足の加速」と「需要の高止まり」が生む“構造的な上昇トレンド”──
建設業界では今、
「給与が上がり続けている」という声と、
「これ以上上げられない」という悲鳴が同時に聞こえます。
実際に何が起きているのか?
給与相場はこの先どう動くのか?
結論から言うと、
建設業の給与相場は、今後“確実に上昇傾向”が続きます。
理由は単なる人手不足ではなく、
“構造的に給与が上がらざるを得ない仕組み” が生まれているからです。
本コラムでは、
建設業の給与相場の現状と、今後10年の未来を予測します。
1. 給与上昇の根本要因は「労働人口の急減」
まず最も大きな要因は、
若年層の人口減少です。
20〜34歳の人口は
今後10年でさらに大幅に減少します。
若者が減る=未経験者の母数も減るため、
会社同士で“奪い合い”が加速します。
さらに…
●他業界(物流・製造・IT)も同じく若手不足
→ 給与アップで若手を取りに来る
→ 建設業はさらに給与を上げざるを得ない
つまり、
建設業の給与は 競争によって引き上げられていく という構造です。
2. “建設需要は高止まり”で、給与が下がる要素がない
給与が上がる最大の条件は
「需要が減らないこと」。
建設業はこの10年、以下の需要で下支えされています。
・再開発ラッシュ
・インフラの老朽化
・大規模改修の増加
・公共工事の安定
・省エネ化・断熱化需要
・大阪・名古屋・福岡の都市集中
そしてこれらは
今後20年続く長期トレンド です。
需要が落ちない以上、
給与相場が下がる理由がありません。
むしろ、
●職人不足
●需要は安定
→ 給与が上がりやすい市場が続く
という構造です。
3. 2025年問題は給与上昇圧力をさらに強める
2025年問題とは、
団塊世代の大量離職による“熟練者の急減”。
ベテランの引退で何が起きるかというと…
●経験者の価値が跳ね上がる
●若手の教育コストが増える
●人手の確保が難しくなる
つまり、
経験者の給与が市場全体で上がる ということ。
今後の市場は、
✔ 技術者の取り合い
✔ 若手の取り合い
✔ 経験者の奪い合い
が同時に発生します。
これにより給与相場は
間違いなく上昇を続けます。
4. DX・ICT導入で“給与が下がる”のではなく“仕事の価値が上がる”
一部では「AIやロボットで給与は下がる」という意見があります。
しかし、建設業は真逆。
●ロボット → 危険作業が減る
●ICT → 作業効率が上がる
●AI → 段取りが明確になる
こうなると、
技術者が“より価値の高い仕事に集中できる”ようになる。
結果として、
・現場監督
・多能工
・専門技術者
・施工管理経験者
などはさらに高収入化します。
DXは給与を下げるのではなく
技術者の市場価値を押し上げる のです。
5. 外国人労働力に頼っても、給与は下がらない
「外国人が増えると給与が下がるのでは?」
という懸念もあります。
しかし現実は逆。
・外国人材の受け入れ枠は厳格
・職種ごとに制限がある
・建設分野は人気が低い
・そもそも数が足りない
つまり、外国人の増加で
給与相場が下がることはありません。
むしろ…
✔ 教育コストが増える
✔ 管理体制が必要
✔ 技能実習から特定技能へのシフト
これらにより、
労務費はむしろ上がっていく傾向です。
6. 今後10年の建設業の給与相場はこうなる(予測)
ここまでの要素を踏まえると
今後の給与相場は以下のように動きます。
① 未経験者:上昇幅は比較的緩やか(+1〜2万円/月)
理由:
未経験者は教育コストを要するため、無制限に上げられない。
ただし競争が激しいため上昇は続く。
② 若手経験者:最も上昇幅が大きい(+3〜6万円/月)
即戦力化が早く、
定着すれば長く働くため価値が最も高い層になる。
③ ベテラン技術者:引退リスクにより価値が急上昇(+3〜8万円/月)
2025年問題の中心。
会社はベテランの流出を避けるため
待遇を上げざるを得ない。
④ 多能工:市場価値が急騰(+5〜10万円/月)
DX・生産性向上の流れで
多能工の価値は最も高くなる。
⑤ 施工管理:全国的に給与が上昇(+3〜7万円/月)
施工管理は
人不足 × 需要増 × 若手の敬遠
の“3重苦”。
給与が上がらない理由がない。
結論:建設業の給与相場は“長期的な右肩上がり”が続く
建設業の給与は
景気に左右される時代から、
構造的に上がる時代に変わりつつあります。
理由をまとめると…
【給与が上がる5つの構造】
✔ 若手人口の急減
✔ 経験者の大量引退
✔ 需要の高止まり
✔ DXで技術者の価値が上がる
✔ 企業間競争が激化
つまり、建設業の給与は
「多少は下がることがあっても、
長期的に見れば必ず上昇していく」
という流れが続きます。
採用でも定着でも、
この“相場の変化”を理解した会社だけが
今後の戦いに勝てるのです。