職人は求人広告だけでは集まらない理由

──“情報飽和”時代の採用戦略とは?──
「求人広告を出しても応募が来ない」
「以前は集まっていたのに、今は全く反応がない」
これを感じている建設会社は、すでに全国で8割を超えています。
しかし、これは単なる“少子化のせい”でも、“景気のせい”でもありません。
根本的には、採用の構造が変わった だけなのです。
結論から言えば、
今の時代、職人は求人広告“だけ”では集まりません。
その理由を3つの視点で整理すると、問題の本質が見えてきます。
1. 情報があふれすぎて「埋もれてしまう」
ひと昔前は、求人広告といえば紙媒体が主流でした。
情報量が限られていたため、求人広告に掲載すれば比較的応募が来やすい時代でした。
しかし、現在はまったく違います。
・タウンワーク
・求人ボックス
・Indeed
・スマホアプリ
・SNS
・Google for Jobs
職人が触れる求人情報は、毎日何十件・何百件 にもおよびます。
つまり現代は、
求人広告 = 情報の海に浮かぶ“1つの点”でしかない
という状況です。
表示されても、見られなければ意味がありません。
見られても、比較されれば埋もれてしまいます。
さらに求職者側は、
「いい求人があれば応募する」ではなく
「なんとなく見て、合わなければスルーする」
という行動に変わっています。
求人広告だけで勝負するのが難しいのは、
「広告の質」ではなく “情報量の飽和” が原因なのです。
2. 若手は“求人票”よりも“雰囲気”を見る
若手の応募者がどこを見て応募を判断しているかを調査すると、
大企業と比べて中小建設会社ではかなり違いがあります。
若手が気にするポイント
・現場の雰囲気は?
・怒鳴る人はいない?
・未経験でもいける?
・年齢層は?
・休みは本当に取れる?
・自分に合う環境か?
これらは求人広告を読んでも 一切わかりません。
だから若手はSNSを見るのです。
・TikTokで会社の雰囲気
・Instagramで施工実績
・YouTubeショートで職人の声
・LINE公式で日々の情報
求人広告に書ききれない「リアル」がSNSで伝わるため、
求人広告だけの会社よりも“情報がある会社”に応募が集まる構造 が生まれています。
実際、SNS発信を始めた建設会社の多くが、
「問い合わせが一気に増えた」
と話します。
求人票より“雰囲気”が重視される時代。
つまり、求人広告だけでは情報として不十分 なのです。
3. 求職者は“会社を調べる”時代になった
スマホの普及によって、求職者の動きは大きく変わりました。
求人を見て即応募する → ほぼゼロ
今の求職者は、求人を見た後に必ず次を行います。
▼ 求職者の行動パターン(ほぼ全員がこれ)
1 求人広告を見る
2 会社名を検索する
3 公式サイトを見る
4 SNSを見て雰囲気を確認
5 Googleの口コミを見る
6 自分の知人に聞く
7 「ここなら大丈夫そう」と判断して応募
つまり、応募の前に 必ず“調査フェーズ”がある のです。
この“調査フェーズ”で
・情報が古い
・サイトがない
・SNSがない
・写真が暗い・雑
・実績や代表メッセージがない
こうなると、候補から外されてしまいます。
プレエントリーの段階で
「情報量の少ない会社は不安」
「正式な会社じゃなさそう」
と思われるからです。
求人広告“だけ”で採用できていた時代は、
求職者が「検索しなかった時代」。
今とはまったく違います。
4. 求人広告は“入口”でしかない
求人広告は、もはや
応募の入口を作るツール に過ぎません。
本当に重要なのは、その先の 導線設計 です。
▼ 現代の採用は「求人 × SNS × 採用サイト」の掛け算
・求人で認知を取る
・SNSで雰囲気を伝える
・採用サイトで信用を積み上げる
・LINEで応募ハードルを下げる
この流れを作っている会社は、
求人広告もSNSも採用サイトも「全部が繋がって機能する」ため、
応募が増えます。
逆に、求人広告だけしかない企業は
入口だけ作って出口がない状態。
この違いが中小建設会社の採用結果に
大きな差を生み出しています。
5. 求人広告だけでは集まらない時代。“総合採用”の時代へ
結論をまとめると、
職人が集まらない理由は、求人広告の質ではなく
採用の構造が変わったから。
▼ 職人が集まらない本質理由
1 情報が多すぎて求人が埋もれる
2 若者は“雰囲気”を見て応募を判断する
3 求職者は会社を調べてから応募する
つまり、現代の採用で勝つには
「総合的な採用活動」 しかありません。
・求人広告
・SNS発信
・採用サイト
・LINE導線
・会社の情報整備
・写真・動画のクオリティ
これらを組み合わせることで、
はじめて“応募が増える仕組み”が完成します。
求人広告だけで勝負する会社と、
総合採用をしている会社。
この差は、今後ますます広がります。
採用はもう単発の施策ではなく、
経営戦略そのものです。

